2024年10月16日

補助金申請代行は違法?その真実を深掘り解説

補助金は、事業者にとって大きな経済的サポートとなる制度ですが、申請手続きが煩雑であり、代行サービスを利用するケースが増えています。しかし、行政書士や社労士といった専門資格を持たない業者が代行業務を行うことが違法かどうか、という問題がしばしば議論されています。この記事では、行政書士以外が補助金申請の代行を行う場合の合法性や違法性について、法律の観点から詳しく解説します。

1. 補助金申請代行とは?

補助金と助成金の違い

まず理解すべきは、補助金と助成金は異なるものであるという点です。補助金は、経済産業省などが所管しているもので、申請者が事業に対する補助を受けるためのものです。一方、助成金は、厚生労働省などが所管しており、特に雇用関連の助成金(例:雇用調整助成金)では、社会保険労務士(社労士)が代行することが法律で定められています。

申請代行の目的

補助金申請の代行とは、事業者が直接申請手続きを行うのではなく、第三者の専門家(行政書士やコンサルタントなど)に依頼することを指します。このプロセスを通じて、事業者は時間や手間を省くことができ、採択率を高めるための支援を受けることが可能です。

申請のプロセスと専門家の役割

補助金申請は、事業計画書や経費明細の作成など、詳細な書類作成が必要です。これに対し、行政書士や補助金コンサルタントは、適切な事業計画書の作成や書類チェックを行う役割を果たします。特に、審査基準を満たすための要点や申請書のフォーマットを理解し、指導を行うことで、申請者の負担を大幅に軽減します。

2. 行政書士が行うべき補助金申請代行の役割

行政書士法に基づく業務範囲

行政書士法によると、「官公署に提出する書類の作成および提出代行」は、行政書士の独占業務とされています。補助金申請もこれに該当するため、特定の条件下では、行政書士以外が代行業務を行うと違法となる場合があります。

ただし、申請者自身が作成した書類をサポートする形でのコンサルタント業務や、申請のアドバイスを行うことは、行政書士資格を必要とせず合法です。重要なのは、申請書の「作成行為そのもの」をどこまで第三者に委任するかという点です。

行政書士の独占業務とコンサルタント業務の違い

行政書士は、申請書の作成を行うだけでなく、事業者との契約書や法的な書類の整備を行うことが可能です。対して、補助金コンサルタントは、申請書のレビューやアドバイス、書類の整合性確認といったサポートを主に行います。この違いを理解することが、違法な業務と合法なサポート業務を区別する鍵となります。

補助金申請代行が違法となるケース

行政書士以外の人が、補助金の申請書作成を全面的に代行する場合、違法となるリスクがあります。特に、書類の内容を第三者が作成し、それをそのまま提出する形式のサービスは、行政書士法違反となる可能性があります。

違法となる業務の具体例

例えば、事業者が補助金申請を依頼する際に、事業計画書や申請書の全てを業者が作成し、申請者本人が関与しない形で提出する場合、これは行政書士でなければ行えない業務に該当します。また、雇用関連の助成金申請は、社労士が唯一行える業務となり、無資格者が行うと違法です。

3. 補助金申請代行が合法となるケース

申請書のサポートやアドバイスの提供

申請書の作成において、事業者が自身で作成した書類をチェックしたり、申請に必要な項目についてアドバイスを提供することは、行政書士でなくても違法ではありません。これが、コンサルタントや補助金申請サポート業者が提供する代表的なサービスです。

コンサルタントが提供できる具体的サービス

コンサルタントが合法的に提供できるサービスには、次のようなものがあります。

  • 事業計画の内容確認とフィードバック
  • 補助金申請に関する具体的な書類のアドバイス
  • 申請プロセスの手続きサポート(提出代行は含まない)
  • 補助金受給後の事業展開に関するアドバイス

4. 違法な申請代行業者に注意するポイント

違法業者の特徴と見分け方

違法な申請代行業者に依頼してしまうと、補助金を受け取れなくなるだけでなく、後に法的なトラブルに発展する可能性があります。違法な業者の特徴には、料金が不透明、具体的な資格を持っていない、やり取りが曖昧といった点が挙げられます。

信頼できる業者の選び方

補助金申請を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが重要です。実績があり、透明性のある料金体系を提示しているか、また適切な資格(行政書士や社労士)があるかどうかを確認することが大切です。

まとめ

補助金申請の代行は、行政書士資格を持たない業者でも、サポートやアドバイスの提供を行うことは合法です。しかし、申請書の代理作成や提出代行は行政書士の独占業務であり、無資格の業者が行うと違法となるケースがあります。特に、事業計画の作成や申請書の内容に関する部分で、申請者の意思を反映せずに書類を作成する行為は、法律に抵触する可能性が高いです。

補助金の申請は事業者にとって重要な手続きであり、時間やリソースの節約になることから代行業者に依頼することが増えています。ですが、違法な業者に依頼してしまうと、補助金が受け取れないリスクや罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。依頼する際は、信頼できる業者を選び、適切な手続きを確実に行うことが重要です。

また、助成金に関しては、社労士資格が必要な場合もありますので、助成金と補助金の違いを理解し、適切な専門家に依頼することを忘れないようにしましょう。特に雇用に関連する助成金では、社労士以外が申請代行を行うと違法です。これに対し、事業再構築補助金やIT導入補助金などの経済産業省が管轄する補助金に関しては、社労士以外でも合法的に代行可能です。

信頼できる専門家に依頼し、正しい手続きを行うことで、申請がスムーズに進み、採択率を高めることができるでしょう。これらの点に注意しながら、補助金の申請を進めてください。